リッチカード – Googleの狙いと今後のウェブ制作

コムラボ技術担当の小手森です。たまにはエンジニアらしい事でも書こうと思います。ちょっと専門的な話になってしまいますが、興味ある方はどうぞお付き合いください。

少し前の話題ですが、Googleのリッチカードがグローバル展開されたようですね。日本でも検索結果に反映がされています。(リッチカードについて詳しくはこちらの記事が参考になります)

Googleの検索結果の変更によってユーザーの行動にどこまで変化が出るか気になるところですが、なんとなくリッチスニペットよりも視覚的に優位性が高くなりそうな雰囲気があって一定の効果はありそうですよね。実際のところはどうなんでしょうか。

リッチカードの導入で何が変わるか

おそらく既に目にしている方も多いと思いますが、下記のように検索結果に画像つきでカードのような形でサイトが表示されるので、目につきやすいです。

赤枠の部分がリッチカード

となると、CTR(クリック率)は高くなりそうなものですが、面白い記事がありました。

「実は効果が低い!?カルーセル形式で結果表示されるAMPコンテンツが抱える課題とは?」
https://www.google.co.jp/amp/s/kobit.in/archives/7403/amp

記事タイトルにはリッチカードとは書いてませんが、リッチカードのCTRについて言及しています。それによると、どうやら従来のテキスト形式の方がCTRが良いという結果が出ているそうです。ただ、ユーザーが横にスクロールする習慣が無いからだろうという推測もされています。

現時点では大きな変化は見えませんが、今後ユーザーの横スクロールの習慣化が進めば、検索結果におけるユーザーの行動に変化が表れてきそうですね。さらにGoogleのこの取り組みがうまく行き、リッチカードに対応したサイト(後述)が十分に普及すれば、検索結果の標準の表示形式がリッチカードになっていくかもしれません。

Googleの狙い

リッチカードを導入したGoogleの狙いとしては、やはり多くのウェブサイトに構造化データ(*)を取り入れてほしいということなんだと思います。サイトをリッチカードとして表示させるには、構造化データによるマークアップが必要です。検索結果においてリッチカードの優位性が確かなものになれば、構造化データを導入を検討するウェブサイトの運営者は増えるでしょう。

そうなれば、当然Googleは多くのウェブサイトのデータの蓄積が可能になります。こうして蓄積された膨大なデータは今後のアルゴリズムの改善に利用されるだけでなく、Googleが展開している数多くのサービスにも利用されることが想定できます。Googleは他にもウェブサイトの情報を取得するために施策をいくつもやっていますが、今回のリッチカードもそのうちのひとつだと思います。

(*)ページに書かれている情報の意味をクローラー(ロボット)が読み取れるように設計されているデータ。例えば、「コムラボ」という文字列があったときに、人間なら前後に書かれている文章などから「法人名」だと理解できるが、クローラーには理解できない。そこで「法人名=コムラボ」という構造化データを用意することで、「コムラボ」が「法人名」だとクローラーに認識させることができるようになる。

これからのウェブ制作

構造化データの導入には(サイトの規模にもよりますが)それなりのコストがかかるため、現時点で導入しているサイトはそう多くありません。ただ、今後のGoogleの方針によっては制作側もそうは言ってられなくなると思います。

リッチカードの優位性としてはCTRの話に留まりましたが、検索アルゴリズムの変更などにより検索における構造化データの優先度が高まっていけば、「構造化データを持っていないウェブサイトの検索順位が落ちる」ということも考えられます。そうなれば制作側も構造化データでのマークアップの導入を検討せざるを得ません。

Googleが新しいものを導入していく度に制作側の変化も求められているのですが、今までの制作のやり方というのはそう簡単に変えられないところも多いと思います。しかし、状況は確実に変化していっているので、それに合わせてうまく対応できないウェブ制作というのは、時間をかけてゆっくりと死んでいくのかな、と思ったのでした。おわり。

この記事を書いた人

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小手森 泰介

コムラボのエンジニアリング担当。足利生まれ。大学進学をきっかけに上京するが、地元で働きたいと考えるようになり、足利にUターン転職をする。その後独立し、フリーランスとしての経験を重ね、2016年に株式会社リクシスを設立。趣味は陸上競技とピアノ。ここ最近の関心事は「地方での働き方」。