紫だちたる髪の細くたなびきたる
縁あって久しぶりに演劇の舞台に立つことになりました。
週末は稽古に明け暮れる日々を過ごしています。
私にとって、それは楽しいことなのですが、ひとつ問題を抱えています。
いただいた役柄は30代のビジネスマン。実年齢よりも少なくとも20歳は若いのです。
役作りの工夫と稽古と皆様の広いお心で、ある程度は大目に見てもらえそうな気がするのですが、白髪頭はいけません。どうあっても、その年代に見えませんものね。
さて、どうする?
ならば、白髪を黒く染めればいいんじゃねと。
まずはお手軽なカラートリートメントタイプから試してみることにしました。これなら表面に塗りつけるだけなので、時とともに剥がれ落ちて元に戻れるはずだからです。しっかり黒くするには、髪の中まで浸透させるヘアカラーを使うべきなんでしょうが、これだと元の白髪に戻せなくなってしまうので、これは最後の手段とします。
やってみてわかりました。お手軽に黒くするのは、難しいんです。
ここしばらく、表面塗りつけタイプの類でどうにか黒くしようとして、あれやこれや試しているのですが、これがどうしてうまく染まってくれんのですよ。ほんと、難しい。黒と銘打ってあっても微妙に紫色がかっていたりするんですね。うっかりすると、むらさき芋のような色になることさえあります。まあ個人差があって、黒く染まる人もいるかもしれませんが、残念ながら私はそうはなりませんでした。
気になって行き交う人たちを観察してみると、たまに紫系の頭のおじさんを見かけることがあります。
きっと、なかには黒くしたいのに仕方なくこんな色で我慢している人たちもおられるのではないでしょうか。
いろんな製品を試しながら我慢どころを探っています。
今は、黒紫系と黒茶系を使い分けて塗り重ねてゆくというやり方で暗い鈍色になっています。本当の黒ではないですが、むらさき芋よりはマシです。
白髪表面にコーティングするやり方では、こんなもんなんでしょうか。
自然な黒髪色にするのって、そんなに難しいんですかねぇ。
公演日が近づくにつれ、どうやら最後の手段を使わなければならない予感がしてきました。
そうすれば、あっさり解決ですが・・・
髪の色なんて、どうでもよいと思っていた自分が、こんなにも悪あがきをしていることが面白いなあ。
春はあけぼの
やうやう白くなりゆく生え際 少し明りて
紫だちたる髪の細くたなびきたる