「地域の課題は全て地続きである」、白鴎大学小笠原ゼミ卒論発表会

2月10日、栃木県小山市にある白鴎大学経営学部小笠原ゼミの卒論発表会に参加しました。

去年7月にグループワークの成果発表会にも参加し、ブログにまとめました。

若者の「問い」に地域が答えられないリアル、白鴎大学小笠原ゼミ成果発表会

学生さんとは約半年ぶりの再会です。グループワークでの学びを経て、個人個人が設定したテーマでどんな卒論を書いたのだろうと楽しみに行きました。

発表内容は以下の通り。発表者名は省略します。

  • 「インバウンド対応の現状から考える那須塩原市の環境の課題と提案」
  • 「地方都市を持続させるための図書館運営と地域の人々に求められること~栃木県那須塩原市図書館みるるを例に~」
  • 「交流の場づくりによる持続ある中心市街地へ〜栃木県栃木市を例に〜」
  • 「リノベーションまちづくりを活かした地方都市再生~福島市を例に~」
  • 「持続可能な長野市を実現するためのコンパクトシティの拠点づくり」
  • 「情報環境の変化から考えるこれからの地方自治体広報のデジタル化について~茨城県茨城町を例に~」
  • 「地方都市の交流空間の現状から見える課題と提案~下館駅北口を例に~」
  • 「NPOを軸としたソーシャル・キャピタルの醸成〜栃木県真岡市を例に〜」
  • 「自動運転バスを起点とした取り組みにおける課題とまちの発展について~茨城県境町を例に~」
  • 「芳賀・宇都宮LRTの持続性と活用における地域振興について ~栃木県宇都宮市を例に~」
  • 「地域の規模や実情に合わせたMaaS導入の検討と地域公共交通の持続可能性における課題~栃木県さくら市を例に~」

発表は時間制限あり。会場にはタイムキーパーがベルを握りしめ、時計とにらめっこ。制限時間近くになると予告で「チーン」、制限時間になると「チーンチーン」、制限時間を超えると容赦のないベル連打です。タイムキーパー役の人おつかれさまでした。先輩の一番勝負での担当は大変だったと思います。おかげさまで予定時間通りにプログラムが終了。

発表は卒論を元にした概要説明です。スライド10枚くらいでしょうか。確かにこれだけ人数が居るとそうなるかと。私は卒論を事前に読まず(読めない)、概論だけを聞いてあれこれ質問しました。中休みの時に卒論に目を通そうかと考えたのですが、概論がその人が一番伝えたいテーマなんだろうなと思いまして・・・。最初は全員に質問するつもりでしたが、先に質問された人が被った場合、質問が多かった発表回は遠慮しました。それでも7割くらいは手を挙げたでしょうか。面倒くさいおっさんでごめんなさい。

今回も前回の成果発表会と同じことが起きていました。それは「若者の『問い』に地域が答えられないリアル」です。学生が大変な思いで事前準備をしても、ヒアリング先での大人の回答や出てくる資料がスカスカ。もしくは学生に向き合わずはぐらかす。発表で「消極的な印象を受けた」「国が掲げている実態と異なる」という言葉があり、解像度が足りないなと思った私から「なぜそう思ったのか」と質問すると「かくかくしかじか」「あー・・・」みたいな状況です。昨今、地域社会に求められているさまざまな要素は、いずれも取り組まなければまずい課題です。ただ、それをなぜやらなければならないのか、地域に落とし込んでどうやればいいのかと考え、それを担う人材が不足しています。これからますます地域差(=市民の差)が出てくるのでしょう。

卒論発表は、インバウンド、地域の場作り、リノベーション、コンパクトシティ、行政DX、地域の公共交通など多岐にわたります。発表は1つずつでしたが、一通り聞くと、点と点がつながり、地域という面をイメージすることができました。

小笠原先生から「最後にあいさつを」と振って頂いたので、私からは「みなさんの発表を全て聞いて改めて感じたのは、地域の課題は全てつながっているということ。自分はNPOを13年やり、地域と関わっているが、新しいことを知る度に勉強している。4月から社会人としてのキャリアがスタートしますが、学び続けることを忘れないでください(意訳)」と話しました。

素敵な時間を小笠原先生、小笠原ゼミのみなさん、ありがとうございました。

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代表理事 山田 雅俊

NPO法人コムラボ 代表理事、足利経済新聞 編集長、サードプレース「マチノテ」運営 。生業はIT系。システム開発、Web製作などIT業務の経験を生かし、地方都市における情報格差の課題解決へ向けて企業・NPO法人の両面から取り組む。