混ぜるな危険!?地方コミュニティに必要なのは「まもる」こと
マチノテを運営しているコムラボの山田です。
この記事は、コミュニティマネージャー Advent Calendar 2019、12月13日担当分として書きました。
12日の記事は、東京・五反田のコワーキングスペース「Contentz」管理人の鬼頭佳代さんによる「正直、交流会イベントが苦手だったスペース運営者が、会員交流会を楽しめるようになった3つの工夫」です。鬼頭さんは「コワーキングスペース運営者の教科書」を共著で執筆されています。コワーキングスペース運営、コミュニティ運営に興味のある方はぜひ。マチノテの本棚にも置かせて頂いています。
私たちコムラボは来年で創立10年になります。2010年の足利Twitter交流会からはじまり、今までに何回地域でイベントをやったか覚えてないくらい地域コミュニティに関わってきました。2018年にカフェ&シェアオフィス「マチノテ」をOPEN。地域のサードプレイスを目指して運営しています。この記事では「コミュニティマネージャー」を「地域で誰かと誰かをつなげる人」と捉え、普段マチノテスタッフに心がけて欲しいと伝えている「地域のつながりづくり」を書きます。
地域コミュニティ=無償奉仕の落とし穴
「地域で〇〇がやりたい」と相談に来店する若者がたまにいらっしゃいます。その際、地域コミュニティを無闇に紹介し、つなげない方が良いです。地域活動の多くはボランティアベースで運営しています。慢性的に人手が足りません。「地域で〇〇がやりたい」という若者が無防備に地域に関わると「手伝って」とボランティアでこき使われます。自分は地域でやりたいことがあったのに、いつの間にかあちこちでボランティアをやっている、おかしい・・・。相談に来た方の話を聞き、地域とつなげるとしてもメリット・デメリット、注意点を伝えて紹介することは必要だと思います。地域に関わりたいと思う人は今の時代貴重です。貴重だからこそ、使い潰されないようコミュニティのハブになる人は気を配らなければなりません。
地域のキャバクラ化に注意
女性が地域コミュニティに関わる場合は特に注意が必要だと思います。地域コミュニティの会合(要は飲み会)に誘われ、中高年男性の「昔は良かった」に耳を傾ける。こんな話を聞くことがあるのですが、これってキャバクラと同じだなと。飲み代を自己負担しているからタチが悪い。会議は会議、飲み会は飲み会です。飲み会大好きコミュニティには気をつけた方が良いです。アルコールを潤滑剤に「地域はこうした方が良い」「今のままではダメだ」と話す人は多いですが、飲み会で話されたことが実行したことを私はほとんど見たことがありませんし、後で聞いても覚えていない人もいます。もちろん交流機能として飲み会はあった方が良いと思いますが、そもそも関わっている目的は何かを意識した方が良いです。
関わる人を守る
今まで書いた2つの事例から伝えたいのは、コミュニティマネージャーの一番の役割は「つなげる」ではなく「まもる」だと私は考えています。1つ目が「若者をまもる」、2つ目が「女性をまもる」です。地方活性化の事例は、どちらかというと「どうつなげるか」ばかり紹介されています。地域でやりたいことは「つながる」ことだけなのでしょうか。地域で「やりたい・かなえたい」というモチベーションがきっかけで地域に関わろうとする人もいます。コミュニティマネージャーの役割を「つなげる」と思い込んでいると、地域の地雷へつなげてしまい、関わった人が結果的に望まない方向へ進むことを手伝いをしてしまう恐れがあります。
先日、白鴎大学小笠原ゼミの成果発表会に参加しました。
「若者は東京へ追い出される」
「某県庁は若者のことを重視していない」
「新しい考えや価値を受け入れる度量がない」
「古い価値観を押しつけ、社会の変化に対応できていない」
地域で活動する人にとって刺激的な言葉が並ぶスライド発表でした。若者視点での発表でしたが「地域で新しいことをやりたい」と考えている人にも当てはまる話だと思います。この発表から地域が変化に対応できず、関わりたいと思っている人の居場所が作れていないことを示唆しています。いまだに「大人と若者の交流・地域活性」が若者への地域施策だと勘違いしている事例は目にしますが、ニーズは本当にそうなのでしょうか。地域で「つなげる」機能を持っている人は一度立ち止まって考えた方が良いと思います。
次回のコミュニティマネージャー Advent Calendar 2019は、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の田代明子さんです。