地方でコワーキングスペースを運営するときのお金の話
こんにちは。コワーキングスペース「SPOT3」のスタッフの小手森です。
この記事はコワーキングスペース運営者限定アドベントカレンダー Advent Calendar 2015の11日目の記事です。(昨日はコワーキングスペース茅場町 Co-Edoの田中弘治さんによる記事『無料のコワーキングスペースにはなぜ人が集まらないのか(仮)』でした)
実は一昨日にはSPOT3の責任者である山田が記事を書いたのですが、今日は地方でコワーキングスペースを運営する際のコストとマネタイズに焦点をあててお話していきます。地方といっても様々で、県庁所在地のように比較的人口の多い都市もあれば、数千人規模の町村もあります。SPOT3の所在地である栃木県足利市は、人口約15万人で製造業が中心の地方都市です。今回はそのくらいの規模感の街を主軸にしてお話させていただきます。
コワーキングスペースを作ろうと思ったら
初期費用については、費用をかけるべきところとそうでないところをしっかりと見ていかないと、あっという間に膨れ上がるので注意が必要です。業者に頼むべきところと、スタッフで出来る部分を分けて考えるといいかもしれません。ちなみにSPOT3では壁のペンキ塗りや床張りなどは全てスタッフが作業しました。
他には、工夫次第でコストを抑えることも出来ます。例えば、備品などは購入せずに誰かから譲り受けたり、新古品や中古品でまかなったり。このあたりは人脈によるところが大きいと思います。そのために、コワーキングスペースを運営したいと思ったら、常日頃から周りの人に向けて「自分はこれからコワーキングスペースを作る」ということを発信することが重要です。為になる情報を教えてもらえる機会が増えますし、いざ作ろうと思ったときに思わぬ協力をしてくれる人が現れるかもしれません。
マネタイズの壁と解決手段
地方でコワーキングスペースを運営する一番の壁は、おそらくマネタイズです。県庁所在地のような人口の多い都市であれば、利用者も一定以上いると思います。そのような街の場合、うまく集客をすればどうにかマネタイズはクリアできると思いますが、足利市のように人口約15万人で製造業が中心の地方都市の場合、コワーキングスペースを利用する層が薄いケースが多いです。要はコワーキングの市場としては非常に小さく、(マーケティングの視点からすると)それだけでは参入する価値は乏しいわけです。
その解決方法として、併設型のコワーキングスペースにする方法があります。というか今のところこれしかないんじゃないかと思います。コワーキングスペースに併設して飲食店やシェアオフィスを設けて、基本的にマネタイズはそちらに任せる、という仕組みです。SPOT3もシェアオフィス併設型のコワーキングスペースなのですが、足利市では意外とオフィスの需要があり、現在満室になっています。もちろん地方によって需要は異なりますので、併設するものが飲食店なのか、シェアオフィスなのか、全く別の何かなのかは変わってきます。
固定費と変動費のバランス
上記に書いたように、何かを併設する形でコワーキングスペースを作れば、マネタイズできる可能性は上がります。しかし、仮にマネタイズがうまくいって、どうにか運営できるようになったとしても、変動費率が低いままではリスクは大きいです。
成熟した企業や業界においては、変動費率を下げ、固定費率を上げることで事業を有利に進められる、なんて話もありますが、地方におけるコワーキングスペースはまだまだ未発達なので、やはり変動費率は上げた方が良いと思います。併設型のコワーキングスペースにする際にも、シェアオフィスよりも飲食店の方が変動費率は上がります(だからといって必ず飲食店の方が良いというわけではないです)。コワーキングスペース単体で変動費率を上げるとなると相当ハードルが高いので、併設側のコストを考えるときには変動費率を意識する必要があります。固定費と変動費については、これから先続けていくには考えなければならない課題なのではないかと思います。
さいごに
私はスタッフとしてSPOT3に関わっていますが、責任者の山田から「どう運営していったらいいのか」「どうやったら続けていけるのか」という問いは常に投げかけられます。周りのコワーキングスペースを見ていると「スタッフに考えさせる」ことをしているところが多く、コワーキングスペースの業界って面白い!とつくづく感じます。このAdvent Calendarをきっかけに、運営者だけでなくスタッフ同士のつながりも増えていくと、また面白い価値が生まれる気がします。ここまで読んでいただきありがとうございました。
明日は、千葉コワーキングスペースの佐々木亜紀さんです!